北海道犬の特質

北海道犬は北海道という寒冷地に土着してきた犬であり、そのためには冬の零下何十度という寒さの中でも雪の中に埋まり朝になると雪の中から出てくるというように寒さにも耐える強さを持っております。

この寒さに耐える被毛は他の日本犬と比較して厚く、すぐれた毛質をもっております。

また、雪国であるから耐久性が要求されます。 胸部の発達した堅固で力強い体型も、その一つの特徴であります。 近代犬のように人によって改良作出されてものではなくアイヌ民族と共に伝えられてきた原始犬ですから、このすぐれた性能をもつ北海道犬は同時にすぐれた顔貌と調和のとれた体型の均整美を表現し野性味に富んだ素朴さを持っております。

天然記念物に指定の際の文部省告示では北海道犬について「古来北海道ニ飼育セラレル中型日本犬ノ一ナリ、耳ハ小サク吻部尖リ体躯ハ肩高ニ比シ割合ニ長ク飛節ノ角度アサシ」と説明されている。

更に「本犬ノ保存ヲ図リ、且其ノ蓄殖ヲ助成スルコトヲ要ス」と説明されています。

1.すぐれた獣猟性能

北海道犬は本質的には狩猟犬でありますが、アイヌ民族の生活の中ですぐれた獣猟性能を持つが故に土着し存続してきました。

北海道に多く棲息しているキツネ、ウサギ、等の小動物からクマ、鹿にいたるまで、その発見追跡と怜悧で勇敢な活躍は狩猟においても重要な役割を果たしてきました。

北海道犬は自分より何十倍もある巨熊に挑むその力の源はどこに潜んでいるのだろうか。それは巨熊に挑む気性、逞しい顔貌、力強い背線、弾力にとむ力感溢れる後肢等々、これらがこの源になって巨熊と対峙し挑むことが出来るのであります。

何千年という長い歴史を経た今日までこれらの気性と体躯構成の条件を変わらずに保ち伝えられてきた獣猟犬である。また、現在実施している獣猟競技会においてもその性能が実証されています。

2.主人に従順

北海道犬は二君に仕えずとも言われ、他人には馴れにくいところがあると言われれていますが、それだけ主人に忠実でどんなところからでも主人を慕って帰ってくる帰家性は多くの犬種の中でも誇りに出来ものであります。

 

3.飼いやすい

北海道犬は狩猟に山野に入ったら主人は犬の食べ物までは持って行かないので獲物があればそのオスソわけにあずかるが、なければ自分で食べる(物餌さ)を捜さなければ食べる物にありつけません。

家族の一員として、家庭犬として、護身犬としてあらゆる苦難と闘い粗食に耐え、寒さに耐える体質は北海道犬の一番の特質であります。 この様に食べ物は粗食に耐えてきており、贅沢な物は必要ありません。

また日本犬種の中で中型犬に属し飼育場所も広い所は必要としません。北海道の羆、エゾシカの農作物の被害、本州においては月輪熊による被害が 連日報道されておりますが、これらの被害防止の対策にも獣猟性能に優れた北海道犬を使用することにより、その被害も大幅に防止出来るものと考えられます。

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